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宇宙空間の極限環境を耐え抜く技術とは?JAXA認定の信頼性を産業用トランス・コイルやOEM/EMSへ活かすモノづくり

宇宙空間

近年、IoT(モノのインターネット)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の急速な進展により、社会インフラや産業機器のシステムはかつてないほど高度化しています。それに伴い、機器の心臓部とも言える電源回路、特にトランスやコイルといった電子部品に求められる「信頼性」と「耐久性」の基準も劇的に高まっています。

「システムが絶対に止まってはならない」というシビアな環境下で稼働する機器を設計する際、多くのエンジニアが直面するのが、温度変化や振動、ノイズに対する耐性の問題です。こうした課題を解決するヒントは、大気圏を超えたすぐの「宇宙」にあります。

本コラムでは、特殊な環境下でも耐えうる耐久性・信頼性を持つ「宇宙用部品」の技術的背景と、入一通信工業が2024年11月に取得した「JAXA認定」の意味、そしてその高度な知見をいかにして産業用の自社製品やEMS/OEMの受託製品へフィードバックしているのかを解説します。

宇宙空間という究極の過酷環境に耐える設計とは

人工衛星や探査機が活動する宇宙空間は、私たちが想像する以上に過酷な環境です。例えば、太陽光が直接当たる昼間は温度が+100℃以上に達し、夜間にはマイナス100℃以下まで一気に急降下します。さらに、大気が存在しない真空状態であり、絶えず強力な宇宙放射線が降り注いでいます。そして地球から宇宙へと向かう打ち上げ時には、ロケットの強烈な振動と重力の何倍ものG(加速度)に耐えなければなりません。

このような極限状態において「確実に作動し続ける」電子部品を生み出すことは、技術的に極めてハードルが高くなります。

特にトランスやコイルなどの磁性部品にとって、熱の管理は最大の課題です。地上であれば、空気の対流(ファンによる冷却や自然空冷)を利用して放熱することができます。しかし、空気のない真空の宇宙空間では対流冷却が一切機能しません。

そのため、宇宙用部品では、部品内部で発生した熱(銅損や鉄損による発熱)を、伝導や放射のみによって衛星の筐体へと逃がす特殊な熱設計が不可欠となります。同時に、使用する材料も、真空中でガスを発生(アウトガス)させて光学機器などの精密センサーを汚染しないよう、厳密に選定・管理される必要があります。

これらの厳しい条件をクリアし、数ヶ月に及ぶ過酷な評価試験(耐久試験、加速度試験、温度サイクル試験など)をパスした部品だけが、宇宙という舞台で役割を果たすことができるのです。

JAXA認定が証明する入一通信工業の「宇宙品質」

入一通信工業は、1970年から50年以上にわたり人工衛星用トランス・コイルの開発・製造に携わってきました。最近では小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」にも当社の製品が搭載されるなど、日本の宇宙開発とともに歩みを進めてきました。

そして2024年11月20日、当社はJAXA(宇宙航空研究開発機構)が認定する「宇宙用部品の製造供給業者」として正式に認定を取得しました。

このJAXA認定は、単に「宇宙で使える部品を作った」という過去の実績への評価に留まりません。材料の選定から設計プロセス、製造環境、そして最終的な品質保証に至るまで、極めて厳格で高度な要求を満たす「管理体制」そのものが国レベルの宇宙機関から認められたことを意味します。通信機器や電力制御システム、科学観測機器などの電源回路に組み込まれる当社のトランスは、宇宙ミッションの成功を根底から支える重要な役割を担っています。

宇宙品質の知見を、産業用トランス・コイルや自社製品へフィードバック

トランス・コイル
JAXA認定を取得するプロセスで培われた極限の設計ノウハウや厳格な品質管理基準は、宇宙分野だけに留めておくものではありません。入一通信工業の最大の強みは、その「宇宙品質」の知見を、地上で活躍する産業用の自社製品へダイレクトにフィードバックしている点にあります。

例えば、日本の通信インフラや鉄道信号システムなど、24時間365日の安定稼働が絶対条件となる社会インフラ向けに当社が提供している通信用フィルタや電源装置、トランス・コイルは、宇宙用部品の開発で培った「耐振動性」「温度サイクルへの耐性」「長期信頼性」のノウハウが惜しみなく注ぎ込まれています。

また、近年当社が力を入れているIoT分野においても、このノウハウは生きています。

照明光で発電・充電し、電源・電池不要で長期間稼働する「温湿度CO2センサー(iSSBot)」や「ボンベ残圧監視装置」などのスマートセンサーは、微小な電力をいかに効率よく管理し、ノイズの多い産業現場でも安定してデータを送信できるかが問われます。ここにも、電力を無駄なく変換・制御するトランス設計で培ったノウハウが活かされています。

長寿命で過酷な栽培環境(高湿度など)に耐える、農業用・きのこ栽培用LED照明の独自開発も、環境耐性という強みを応用した一例です。

EMS/OEM受託製造における圧倒的なアドバンテージ

さらに、この品質に対する厳格なアプローチは、当社が提供するEMS(電子機器受託製造サービス)およびOEM事業においても強力なアドバンテージとなっています。

お客様の「こんな製品を作りたい」というアイデアに対し、企画・開発段階から資材調達、製造、品質管理までをワンストップで対応する当社のEMS/OEM事業。ここでは、宇宙用部品や通信インフラ向け重要保安部品の製造で培った「不具合を未然に防ぐ回路設計」「熱対策」「ノイズ対策」の知見がフルに活用されます。

単に図面通りに組み立てるだけでなく、「この使用環境であれば、部品の配置や放熱構造をこう変えたほうが信頼性が上がります」といった、長年の知見に基づいた技術提案を行えるのが当社の特徴です。

また、長野県下諏訪の本社機能と技術センターに加え、ISO9001およびISO14001、さらにはSIRIMなどの国際認証を取得したマレーシアの自社工場(プライ工場・クアラペルリス工場)を連携させたハイブリッドな生産体制を敷いています。これにより、高度な設計・試作は国内で迅速に行い、量産は海外拠点でコスト競争力を保ちながら行うという、柔軟かつ高品質なモノづくりを実現しています。

海外工場であっても、「宇宙品質」を知る日本の品質管理基準が適用されているため、安心して製造をお任せいただけます。

終わりに

IoT機器の普及や設備の自動化が進む現代において、システム全体の信頼性は「たった一つの電子部品の耐久性」に依存していると言っても過言ではありません。過酷な環境下での故障率を下げることは、メンテナンスコストの削減や、サービス停止による機会損失の防止に直結します。

入一通信工業は、100年企業へと向かう歴史の中で、製糸業から電気通信機器、そして宇宙用部品へと「進化」を続けてきました。極限の宇宙環境を生き抜く耐久性と信頼性を追求したトランス・コイルの知見は、今、あらゆる産業の課題解決に貢献する力を持っています。

・通信障害や熱暴走に強い、高信頼性のトランスやカスタム電源を探している
特殊な環境下で使用するIoTデバイスや電子機器の設計・製造を委託したい
・品質トラブルの心配がなく、安定した量産体制(EMS/OEM)を任せられるパートナーを探している

このようなモノづくりにおける課題をお持ちでしたら、ぜひ一度、入一通信工業へお気軽にご相談ください。企画開発から納品まで、確かな技術力と柔軟な発想で、お客様の理想の製品づくりを全力でサポートいたします。

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